国内清浄化達成までの経緯
馬伝染性子宮炎(Contagious Equine Metritis;CEM)は、1980年にわが国への侵入が確認され、軽種馬を中心に生産地での発生が継続していました。そこで、2001年から繁殖用軽種馬全頭のPCR検査を軸とした清浄化事業が実施された結果、2006年以降は発生が認められなくなり、2010年には馬防疫検討会においてその清浄化が確認されました。
馬伝染性子宮炎の自衛防疫指針
一方、海外では本症の発生が引き続き報告されており、非サラブレッドに限ればむしろ汚染地域の拡大傾向が認められています。従って、今後はサラブレッドに偏らず全てのウマを対象とした
①海外情報の収集とそれに基づく輸入検疫の実施
②国内における疫学監視の継続
③再発生に備えた緊急防疫対応策の継承
が必要と考えられます。
このうち、国内における本症の疫学監視は、国や都道府県と連携しながら自衛防疫として全国統一的に実施することが望ましいと考えられます。そこで、軽種馬防疫協議会では、先の馬防疫検討会がまとめた報告書に基づき「馬伝染性子宮炎の自衛防疫指針」を制定しました。
馬伝染性子宮炎の自衛防疫指針
- 馬伝染性子宮炎菌の感染が疑われたウマは、ただちに他馬への伝播防止策を講じ、生殖器スワブを採取して検査を受けること(検査の結果が得られるまでは繁殖に供しないこと)。
- 繁殖用馬は、国内で最初に繁殖に供する際、交配前に検査を受けて陰性を確認すること。ただし、種牡馬は毎年、交配前およびシーズン終了後に検査を受けて陰性を確認すること。
- その他、本症の防疫上必要と思われる検査および処置を、家畜保健衛生所の指導により実施すること。
清浄化達成後の自衛検査体制
- 上記①あるいは②に該当する馬は、公益社団法人日本軽種馬協会が実施する「馬伝染性子宮炎蔓延防止対策事業」あるいは「馬伝染性子宮炎侵入防止対策事業」により、PCR検査に係る費用の一部が助成されます。
- 上記③に該当する馬の検査は、公益財団法人競走馬理化学研究所で受付けています。
検体の採取法
CEM等行動規範
本行動規範は英国競馬賭事賦課公社が毎年繁殖シーズン用にホームページに掲載しているCode of practice on CEM, Klebsiella pneumoniae and Pseudomonas aeruginosaを日本語に翻訳したものです。
(JRA馬事部防疫課訳:鎌田正信監訳)
「CEM等行動規範(和訳)2011年版 」 (PDF)はこちら
原文はこちらをご覧ください。